医)野口記念会野口病院 管理棟改築 ’86    

 ・大分県別府市
 ・木造2階建
 ・病院管理棟
 ・1021.1u

 ・設計監理
  意匠:山口隆史建築設計室

 ・施工:佐伯建設

 ・1985年に、野口病院全体の増改築の意を請けて、現状調査を始め、幾案かのプランの作成、工事手順等の基本計画書を策定した。

1986年、基本計画で予め想定したプログラムに添って、建設病院発祥以来の木造旧本館を管理棟として改修する事から始めた。

 床面積約1,000uのこの二階建ての木造洋風建築は、日本建築学会編纂の日本建築総覧にも取り上げられている名建築で大正11年(1922年)の病院開設時の面影を今に止めており近辺の人達に永い間親しまれてきた。

 病院の規模の割りにそう大きくもない敷地の中にあっても、今回の増改築に当たって、この歴史的建築をどうにか生かしたいというのが設計者の大きな願いでもあった。ではどのように利用するかについて種々の議論はあったが、改築前と同じように医局、会議室、図書室、事務部門などが入った管理棟として生かすのが最良との結論になった。

 外部は永い間に様々な事情で部分的に改変されていたが、建設当時の写真などにより、往事の姿に出来るだけ忠実であろうと心がけた。

 内部については、古さから来る暗さや不便さを取り除き、思い切って機能的になるように努めた。方々を切りつめた昨今の建築に比べようもない高さをもった空間ということもあって、ゆったり落ち着いた佇まいいとすることができたと思っている。

 目先の経済効率だけでない価値判断の上で、この建物、ひいてはまち並みを永く継承しようと努めた病院に敬意を表したい。名建築を語るのはむずかしいのだが、内部の機能性の他に外に対して永く慣れ親しんだ風景を提供し続けてくれるのも名建築の大切な要素ではないだろうか。

―掲載誌:医師の書いた専門病院建築(日本プランニングセンター)
       設計者原稿より 1991年2月―


 ・街角の洋館
 年と共に、少しずつ景色を変えて行くのが、まちの宿命なのだけれど、そんな中で
 時を経て永年使われながら今に続いている建物は、多少のシミやシワもむしろ美し
 く、道往く人にやさしい温もりを感じさせてくれます。

 古さのみを誇るのではなく、新しさだけを求めるのでもなく、界隈の好ましい風景と
 して在り続ける事も、建築が中身の機能を充たす事の他にはたさねばならない大
 きな役割でしょう。大正11年創立、野口病院木造旧本館。昭和61年保存再活用工
 事完了。

 場所の記憶をたっぷり吸い込んで、今センチュリーハウスに向かって、ゆったりと
 別府のまちを見おろしています。

 ・
1989年 大分県 『大分発見』 への寄稿より

 
平成8年(1996年)国の登録有形文化財に指定されました。

その他の写真

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   ( 写真:石松 健男 )