| 湯布院湯の坪街道公衆便所 (とおりやんせ-T) ’90 | ||
・大分県由布市湯布院町 ・1990年3月完成 ・木造平屋 ・公衆便所 ・37.4u ・設計監理 意匠:山口隆史建築設計室 構造:來馬雅史 ・施工:秋吉組 ・建築の目的 麗峰由布岳の自然と豊富な温泉に恵まれた大分・湯布院の盆地は、今や年間300万人とも400万人ともいわれる客で賑わう観光のトップブランドとなっている。 観光にかかわる個々の施設の他、町当局の環境デザインに対する感度も高く「潤いとやすらぎのある町づくり」のもとさまざまな公共部分の整備が進められている。 その一環で観光客のみならず、地元住民も使えるようこの公衆便所が企画された。 ・立地条件 天才イソザキによる美術館機能を持つ駅として有名なJR湯布院駅と、観光の中心部をつなぐ1.5qほどの人通りの多い街路沿いの中ほどに児童公園があり、この「とおりやんせ」は、公園の一角という絶好の場所を得たのだが、それまで二転三転、そのたびに設計し直しでうろたえたりということもあった。 設計は立地する「場所の力」で全く変わってしまうはずなのだから。 ・平面計画上のポイント 公園の多くが管理上の理由からか、出入口を絞っている。 この児童公園も閉鎖的な樹木とフェンスで囲まれており、公園というイメージのもつ解放感とうまくなじんでいるとはいえない。 この一角にできる公衆便所は、行き止まり状の閉鎖的なプラン形式であってはならない。 前面の街路から公園へのアプローチを兼ねてポケットパークにしたい、通り抜けのアプローチ沿いの繁みで用を足すことができれば「男の本懐」(!?)。 どこぞの団体に抗議されそうなコンセプトは最後まで頭から離れなかった。 公園への通り抜けのうねる石壁の両側に男・女・ハンディキャッパー用のブース。 いくら野趣がよいといっても最低の目隠し壁と屋根状の物はいるだろう。 この場所の自然と安全の折り合うところで この施設は計画された。 「とおりやんせ」の命名も、公衆便所というよりも通り抜けの外部空間を強く意識してつけたものに他ならない。 ・構造 外部空間を意識させる平面構成上、内部機能を雨や風や視線から譲る木造軸組は、下部をうねりながら貫く石壁とは構造的に全く切り離して扱い、立体トラス状の小屋裏が吹きさらしで外部からそのまま見えるようにした。 ・ディテール・意匠 この建物の内外に多用されている火山岩は休火山由布岳周辺にゴロゴロある。 街道筋に点々と残る家並みの塀と連動して、あたりの景観を特徴づけるだろう。 いばって見えないよう、できるだけ小粒のものを使うように留意した。 できれば草でも生やしたかった屋根にも火山砂利。 ゆるい勾配屋根は地面の続きでありたい。 曲線の平面にしっくりする床材(PC版)の開発となじませ方も工夫を要した。 折角もようしたものが引込んでしまうような生理的に余り良くない名物便所風になっていなければよいのだが……と願っている。 《掲載誌》 ・建築設計資料(建築資料研究社) 39 公衆トイレ 〜まちづくりの視点から〜 《その他の写真》 |
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