久住町白丹交流センター ’01    
 ・大分県竹田市久住町白丹
 ・2001年3月完成

 ・木造一部鉄筋コンクリート造 2階建
 ・公民館・温泉館
 ・976.7u

 ・設計監理
  意匠:有)山口隆史設計室
  構造:牧博史構造設計事務所
  設備:有)河野設備設計室

  施工:株)松井組

 ・九州・大分・久住町・そして白丹
  久住町は大分県の西端に位置し、北に九州の屋根、くじゅう連山を控え、南に広大な草原のひろがる高原の町。大自然を生かした観光と生業の農業とを有機的に結びつける町づくりを推めています。

  久住・都野・白丹(しらに)の三つの地区ごとに公民館を有しているのだが、1,000人ほどが暮らす白丹の人たちは、築40年近くを経て老朽化した施設に替わるものとして「温泉のある公民館」というユニークな構想をうちあげました。元々この地区に泉源があった訳ではなく、住民が互いで寄金をつくり温泉を掘りあてた上で、ポンプごと町役場に寄付するという熱の入れようでした。

  それではと、町役場も地区住民各層との話し合いを重ねた上で、要項をまとめ上げ、第二次までヒヤリング付き審査の設計コンペを実施することで、これに応える事としました。

 ・場所のかまえ
  変形で5mほど落差のある2段構えの敷地は、高原地帯の集落では普通のことなのでしょう。むしろ幾らかの困難は新しい空間的工夫につながるのだと考えました。

  この敷地は元々からJA(農協)施設に隣接して、ある時は上下段とも小学校分校として…保育園として…役場支所を持つ公民館として…地区体育館脇のゲートボール場として…と、歴代地区の中心施設の場所として使い廻してきており、これからもそうあり続ける事でしょう。

 ・配置と建築
  新しい白丹交流センターでは、敷地上段の温泉近くに温泉館棟を構えました。
  二つの大浴室、バリアフリーの内湯の他に、外部に露天風呂と健康づくりのための歩行浴を備え、春から秋までの間使われており、お年寄の評判をとっているようです。

  運営も地区住民の組織に委託されており、町外の人にも開放されています。
  この施設への取付道路側の下段を交流施設棟としています。この棟の2階レベルで温泉館棟と行き来できるように構成しています。

  交流施設棟は凹型とし、その窪みを小さなプラザとして、日和のよい時には、ちょっとした催物に対応できるようにしつらえてあります。多目的ホールの縁側に加えて、対面するスロープは、その時の観客席となることも意識しています。
  「白丹プラザ」に面する二辺と2階がこの棟の公民館機能であり、プラザやファイヤープレイスを持つロビーの吹抜けを介して、各室が平面的にも立体的にもうまく切りながらつながる構成をとっています。

  町の中心部から離れている地区の暮らしに欠かせないものとして、JR(農協)支店や床屋、パーマ屋も併設して温泉館とつなぐ坂道沿いに町並みのように配置しています。

診療機能も加えたかったのですが実りませんでした。

 ・OMソーラーシステムのこと
  九州とは云え、この地で「耳とり風」と呼ばれる標高600m近い高原特有の冬場の季節風や底冷えはきびしく、年間平均気温12.5℃、最高気温が30℃を越すことは殆どありません(15℃を割り込む期間が10月から5月までの8ヵ月間)。
  OMソーラーにおあつらえ向きの気象条件です。

 加えて公民館や温泉館という昼間だけでなく、夜間にも利用されることの多い施設においては、昼間蓄熱された暖かい空気が日没後放射して、足元からやわらかく暖めるこの方式は、もってこいの手段なのです。

  春から秋までのお湯採りは、全面的に温泉館の上り湯として使えるおまけも含めて、「地味」だが「利口」によく働いて、この建物を支えてくれています。

 ・おわりに
  設計コンペ募集から竣工まで14ヵ月、あわただしくも心踊る時間でした。

  白丹地区のいろんな人とのかかわり、とりわけ小学生とのコラボレーションはうれしかった。授業時間をさいての意見交換、現場の外壁での石つぶ埋めや手形押しの共同作業。気になるのか、遠まきに現場をのぞき込む子供たちを連れ込んでの現場案内。出来上がった歩行浴に水中眼鏡を持ち込んで、泳いだりもぐったりして叱られている子たちの口をとんがらせた顔。学校帰りに交流施設棟のスロープを駆け上って、子供コーナーでおにいちゃんやおねえちゃんの下校を待ち、連れだって奥まった集落への帰途につく子たち。

  創ることのうれしさを存分に味合わせてもらいました。

 《掲載誌・受賞
 ・建築設計資料(建築資料研究社)
  100 OMソーラーの建築
 ・OMレポート vol.20
 ・豊の国木造建築賞最優秀賞


 《その他の写真

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   ( 写真:宮地 泰彦 )